緑区の美園地域は、「ウィングシティ」と称した開発がすすめられ、人口が急増しています。

さいたま市/みそのウイングシティ

人口が増えれば当然、社会的なインフラ整備も必要になります。
浦和美園駅東口では、コミュニティ施設や図書館などが入る複合公共施設の建設が進められているのも住民から強く要望されていたからです。
 
こうしたなかで美園中学校が3年後には教室不足になる見通しです。
要望の強い特別支援学級を設置する教室もないというのが現状です。

すでに大門に学校用地を市は2011年(平成23年)度に取得していて、あとは建設するだけなのですが、市はいまだに具体的にすすめていません。

加川義光市議の議会質問に対し、市は「生徒数の推移を見て適切な時期に判断する」と言っています。
最近建設された美園小学校は設計から完成まで4年かかっています。
3年後に教室不足になる見通しの下では、すでに「適切な時期」に入っているのではないでしょうか。
それどころか、来年(2015年)度予算に設計費を計上しなければさらに時間がかかることになります。

しかも、いま美園中学校は自転車通学をしている生徒の割合が58%と6割近くにもなっています。
国道463号線などの大通り(しかも狭い!)が通学路となっていることから、保護者の方から交通安全に心配の声が寄せられています。 
これも中学校が新設されれば、大きく改善します。
住民の方からも中学校の新設を求める署名が1100筆を超えて市に提出されていることからも強い要望があることは明らかです。

こうしたことから、実情をうかがいに加川議員と住民有志(と私)で美園中学校を8月におとずれました。

↓美園中学校を訪問した時の様子。学校関係者のみなさん、ありがとうございました。
27 美園中学校視察 (4)
↓視察の様子を伝える日本共産党さいたま市議団ニュース(2014年9月7日号)
1409 美園中記事

調査で明らかになった事実をもとに、本日9月16日、加川市議が「議案外質問」でこの問題をとりあげました。

私も傍聴してきましたが、加川市議が来年度予算に計上するよう迫ったのに対し、市は「検討する」以上のことは答弁しませんでした。
それなりに前向きと感じたので、ぜひとも来年度予算に計上してほしいと思います。


なお加川市議は今日の質問で、大宮西高の中等教育学校への改編についてもとりあげました。
市は当初、生徒の完全入れ替えを計画しましたが、父母や生徒、卒業生からの「これでは伝統が引き継げないなどの」強い懸念を前に計画を一部変更しました。


さいたま市/(平成26年8月28日記者発表)さいたま市立大宮西高等学校の中等教育学校への改編スケジュールについて

しかし、これは高3生と中1生が1年間だけかぶるというものです。
大宮西高の伝統がこれで引き継げる、と納得できる人はまずいないでしょう。

ということを加川市議は質したのですが、市は「これから子どもの数が急激に減るので今から対策を考えているのだ」と 正当化するばかりでまともにこたえませんでした。
しかも、「子どもの数が急激に減る」という根拠となる数字も読み違えて過大に答弁。
加川市議に間違いを指摘されて訂正する、という一幕もありました。
結局、根拠も崩れて、結論先にありきということが明らかになったと感じました。

さらに大宮西高では改編を前にして来年度から30人学級が導入されます。
さいたま市では小1・2と中1は35人学級ですが、それを一気に飛び越えた編成基準です。
加川市議がその理由を質したところ、現場からの「手厚い教育を」という声に答えたもの、という答弁でした。

日本共産党は少人数学級の全学年導入を漸進的に導入することを提案しています。
子どもたちが確かな学力を身に着け、教員が丁寧な生活指導ができるようにするためにも小中学校の全学年で少人数学級を導入すべきです。 
今回、市が手厚い教育と少人数学級がつながっていることを答弁し、一部でも実行に移すのは重要です。
が、一部だけ、しかも選りすぐりの子どもに対してだけ、ということに対しては大いに疑義があります。

今日の加川市議の質問を傍聴して、さいたま市の教育施策がゆがんでいると感じました。
大宮西高をめぐってエリート教育のためには保護者・生徒の声も聞かずに押し進めてかつ手厚い教育を施す一方で、一般の子どもたちに対しては保護者からの強い要望があっても教室不足や危険な通学の現状で我慢させる…。

こんなさいたま市の教育を変えていかなければと強く思いました。