学校の先生の働き方がひどすぎる、と問題になっています。

さいたま市でも、くり返し私たち党市議団が求めてきたタームカードが
ようやく今年の9月から設置され、10月から本格運用がはじまりました。

月の残業時間が小学校55時間15分、中学校64時間40分、が平均値とのこと。
さらに過労死ラインの月80時間を超える教員の割合は
小学校20.9%、中学校32.6%、ということでした。

教育長記者会見発表資料(平成30年)
http://www.city.saitama.jp/003/002/008/002/p059866.html
(11月26日)

先日のもりや千津子市議の質問で、病気休暇をとった教員が
2016年・85人、2017年・132人、2018年(11月末まで)・109人
で、

そのうち精神疾患(メンタル)による病休の人数は
2016年・25人、2017年・50人、2018年(11月末まで)・56人

だったことがわかりました。

異常事態と言えるくらいメンタルで休む教員が急増、というより激増しています。

これでは一人一人の子どもたちを丁寧に見ることはできないし、
現場を担う先生の健康問題にもなっている実態を放置しておくことはできません。

報告書や雑務が多いという問題もあります。
とりわけさいたま市の場合は、
さいたま市だけがやっている小学1年生からの英語教育(グローバル・スタディ)や、
授業日数を「年間205日以上」と多くなるよう設定しているなど、
教員の過重労働につながる独自の原因がいくつもあります。

もう一つは、学級人数が多い、という問題があります。
さいたま市では35人学級になっているのは国と県がやっている小学1・2年生だけ。
あとは中学卒業まで40人。

そして全国政令市の中で教員1人当たりの生徒数が一番多いのがさいたま市です。
もうこれ以上ないくらい、日本一さいたま市の教員はがんばらされています。

たとえばお隣の蕨市では頼高ひでお市長のもとで小学校全学年で35人学級を実施しています。
全国の20政令市でも、小3で14市、中3で9市が実施しています。
また、学年は増やさずとも、35人をさらに32人、30人と減らしている政令市もあります。
独自の上乗せをまったくしていない政令市はさいたま市と大阪市だけです。

こうしたなか、少人数学級をさいたま市でも!という請願が署名1万4千人分を添えて提出されました。
日本共産党が紹介議員になっています。

残念ながら市はやる気がなく、他の会派もすべて不採択(反対)でした。

子どもたちに対して教育の責任を直接負うのは教員です。
その教員の働く環境を保障しないまま、あれこれと押し付ければどうなるでしょうか。
教員も人間なのだから、当然無理が現れます。
メンタルで休む先生が増えていることにすでにあらわれてしまっています。

少人数学級の導入ですべて解決するとは言いませんが、
一クラスの子どもの人数が減れば、業務量が減り、子どもと向き合う時間をより確保できます。
35人学級を実施するのに必要な予算は学年あたり3億円余です。
自転車やマラソンの一日のイベントに3億円の税金を投入できるさいたま市です。
未来を担う子どもたちのために、それくらい使ってもいいのではないでしょうか。

引きつづき、さいたま市でも実現できるよう取り組みたいと思います。

以下は私が文教委員会で12月10日に行った請願採択を求める討論です。


日本共産党の松村としおです。

請願第46号「ゆきとどいた教育をすすめるための30人学級実施を求める請願」について採択を求める立場から討論をします。

請願者は、「学校で子どもたち一人ひとりが大切にされ、豊かな生活を創造することで、人間らしく成長していくことを心から願っています。その願いをもとに、ゆきとどいた教育を進めるために、30人学級の実現を求め」、1万4093人の署名をそえて請願を提出されました。請願を提出した「30人学級を実現するさいたま市民の会」のみなさんは、さいたま市誕生の2001年以来、毎年署名を添えて請願を出され、累計で50万筆に及びます。粘り強い取り組みに心からの敬意を表すものです。

これまで、市教育委員会も、少人数学級について、「児童一人ひとりに目が行き届き、個に応じた適切な指導を行う上で効果」があることを認めてきました。教育委員会も国に対して実施を要望しているのは、少人数学級の意義を認めればこそだと思います。

請願者は、当面小学3年生と中学3年生での35人学級実現を求めています。小学3年生は割り算やローマ字など新たな難しい内容が加わるとともに、本市では他の自治体と違ってグローバル・スタディも行われています。にもかかわらず、学級人数が3年生になって10人以上増えてしまう学校が今年度13校あるなど、教員にとっても子どもにとっても負担が大きくなるのは問題です。

また中学3年生は思春期真っただ中で、進学や就職など卒業後の進路選択が迫られる、人生においてたいへん重大な時期の一つです。進路指導でも「個に応じた適切な指導」が重要な時期でもあります。請願者が求めている、まず小3と中3でというのは子どもの成長発達の観点からも合理的な願いです。

教育委員会は国でやるべきという見解に固執していますが、国においてやる見通しは現状ではありません。一方で全国政令市を見ると、20政令市のうち小3で14市、中3で9市がやっているうえ、学年は増やさなくても学級の基準人数を減らしている政令市も多くあり、さいたま市は取り残されています。日本一の教育都市のかけ声が泣くというものです。

また、スクールアシスタントなどで丁寧な対応をしているということですが、少人数指導で言えば特定の教科でしか少人数になりません。学級編成基準そのものを減らすことで全教科、生活全般を少人数でみることができます。さらに教員の働き方改革が言われていますが、教員が受け持つ子どもの人数が減ることで教員の業務負担も減らすことができます。少人数学級の優位性は明らかです。

35人学級を1学年実施するのに約3億円あまり必要ということですが、1日限りのイベントに3億円も出してきた、財政力充分のさいたま市です。市長および教育長の決断にかかっているのは明らかです。毎年多くの署名が出されていることからもわかるように、市民の理解は十分得られるものです。議会として市民の願いを受けとめ、市に決断をうながすためにも本請願を採択することをよびかけ、討論とします。


1812 議案外①