さいたま市議会・9月定例会の補正予算の審議が行われました。
私は予算委員でもあるので、審議に参加し、今回は私が討論を行いました。
2回目の議会にして予算委員会の討論ということでけっこう緊張しました(^^;)


平成27年さいたま市議会 9月定例会 補正予算議案の概要
http://www.city.saitama.jp/006/007/002/017/p031369_d/fil/gaiyou.pdf

1509 補正予算討論 (2)


今回の補正予算では、
認可保育所の整備および耐震化、
介護老人福祉施設の整備、
消防団の整備、
などなど評価できる部分もあるのですが、
承認しえない予算も含まれているため反対しました。

一つはマイナンバーです。
番号通知や個人番号カードの発行業務などを
地方公共団体情報システム機構に委託するのですが、
セキュリティの問題などから実施できる状況にない、
と判断して反対しました。

ちなみにマイナンバーに関連して個人番号カードの申請を
学校や企業などが一括でできることになっています。
この点で次のことを聞きました。

①学校ともなれば数百人分もの本人確認が必要。正確に行うのは困難ではないか
②地方自治体職員(この場合さいたま市職員)が本人確認することになっているがそのような人手はあるのか

市は、一括申請は「必ず実施せよ」というものではなく、
やるかどうかは自治体が選択できるとのこと。
また申請者が他自治体に住んでいる場合もあるなど
本人確認や事務処理の課題が多く、職員の負担の問題もあることから、
検討しているが実施は「厳しい」、とのことでした。

今日から通知カードの発送が始まりますが、
とても制度をスタートさせる状況にないとあらためて思います。

「しんぶん赤旗」 主張/マイナンバー通知/不利益しかない制度動かすな
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-10-03/2015100301_05_1.html


もう一点は大宮区役所の建て替えに関してです。

大宮区役所は老朽化していて市民からも建て替えの要望が強くあります。
私たち日本共産党さいたま市議団も建て替えを求めてきました。

大宮区役所が建て替えに向けて動き出すのはいいのですが、
問題はそれをPFI方式で行うことです。
しかも複合化する大宮図書館を指定管理に、
つまり民間にまかせよう、というのです。

すでに市内に似たケースがあります。
北区役所が入っているプラザノースは
PFIで建設し、図書館も入っています。
ところがプラザノースの図書館は指定管理されていません。
それなのになぜ大宮は指定管理化するのか。

さらに、市は一昨年、図書館の指定管理について
さいたま市図書館協議会に諮問をしたところ、
同協議会は昨年、図書館の役割と指定管理は相いれない
とする内容の答申を出しました。


さいたま市図書館協議会答申(2014年11月)
http://www.city.saitama.jp/003/003/005/p039228.html

市自ら諮問して、意図に沿わない答申が出たことで
結局はそれを無視し、
さらに図書館の指定管理を20年もの長期間にわたって
民間に任せるというのは異常というほかありません。

いろいろ問いただしましたが、
結局は図書館の指定管理ありきで、
まともな検討は行っていないというのが実態です。

なお日本図書館協会は、
「公立図書館の指定管理者制度について」
という見解で公立図書館の目的にてらして
「指定管理者制度の適用は適切でない」としています。

日本図書館協会 | 公立図書館の指定管理者制度について
http://www.jla.or.jp/demand/tabid/78/Default.aspx?itemid=531

PFIという事業方式も様々な問題をはらんでいます。
設計・建設・運営を一体で総額217億円の20年契約という、
巨大プロジェクトです。

他会派の議員も指摘していましたが、
請け負えるのは必然的に大企業だけになります。

また民間業者が20年間もの間、安定して運営できるのか。
20年の間には様々な社会情勢の変化が起こる可能性があり、
217億円の支出で済むのか(これ自体が巨額ですが!)
など様々な問題をはらんでいることから、
PFIという事業方式についても認められません。

こうした立場から今回の補正予算に日本共産党は反対しました。

実際、どのような民間業者が指定管理を受けるのか
まだわかりませんが、すでに各地で問題が起きています。
図書館を民間に投げる状況にないのは明らかです。

住民投票で拒否した自治体も出ています。
さいたま市も選書は市が行うなど市の指導を強調しますが、
それならそれで民間に任せる意味がわかりません。
いずれにせよ、市の主張が破たんしているのは明白です。

市は今からでも図書館の指定管理を撤回すべきです。

小牧市“TSUTAYA図書館”賛否問う住民投票、反対多数に - ITmedia ビジネスオンライン
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1510/05/news043.html#l_sk_komaki_02.jpg


以下は私が行った討論の要旨です。
上で長々書いたものよりわかりやすいかもしれません(^^;)


日本共産党の松村としおです。

会派を代表して、議案第132号「平成27年度一般会計補正予算(第4号)」に対し、反対の立場から討論を行います。

本補正予算では、保育施設整備や耐震化、地域密着型介護老人福祉施設の整備、消防団の整備など、評価できる点もありますが、二つの問題が含まれています。

 一つは、戸籍住民基本台帳事務事業、いわゆるマイナンバーの通知および個人番号カードの関連事務についての予算です。
 マイナンバーについては様々な問題が指摘されています。とりわけ年金番号の流出以後のセキュリティ対策が十分とられているのかという問題があります。通知カードや番号カード交付業務をおこなう地方公共団体情報システム機構、J-LISについても、交付事務を行う職員の身分はどうなっているのか、年金番号流出後、J-LISがシステムのセキュリティ対策を行ったのか、いずれも確認が得られませんでした。
 国にお任せ、という市の姿勢も問題です。市民のプライバシーに関わる重大な個人情報を扱う重みを感じているのか疑問です。
 せめて、十分な対策をとるための時間を確保する、実施を延期するよう国に求めるべきであり、このままマイナンバー制度を実施することは認められません。

 二つ目は、大宮区役所新庁舎整備事業についてです。

今回、PFIで整備するにあたり、大宮図書館の指定管理化を含めた事業計画として提案されています。

まず図書館の指定管理化が問題です。図書館協議会は、「少なくともさいたま市図書館ビジョンの実施期間中は指定管理者制度の導入は行わないことが望ましい」と昨年平成26年11月に答申を出しています。市はこの答申を重く受け止めるべきで、図書館に指定管理を導入することは認められません。

また、質疑の中で、バリュー・フォー・マネー、VFMの算定で大宮図書館を直営にした場合との比較検討が行われていないことが明らかになりました。PFIだからといって一括、一体で整備しなければならないというものではありません。プラザノースはPFIで整備されましたが、図書館は直営で運営しています。本来であれば従来の方式である直営と比較してどちらが有利か比較検討すべきです。

さらに、同じ区役所機能を持っているプラザノースが事業期間の3分の215年の運営期間の折りかえしをすぎたにも関わらず、まともな検証を行っていないのも問題です。結局、PFIだからサービスが向上するなどの推進理由について、具体的なものは何一つ示すことが出来ていないのが実態です。図書館の指定管理機関を20年にするというのも、PFIの事業期間にあわせただけ、というのがことの真相ではありませんか。まさにPFI先にありきであり、このうえあらたなPFI事業をはじめることは認められません。議会の手続上も、PFIと一体に図書館の指定管理導入を本補正予算でまとめて決めるのは問題です。このことについて文教委員会への説明がなされておらず、日本共産党の指摘を受けた形でようやく行われました。この点で議会での手続き上の瑕疵があり、今度の議会で決めることには反対するものです。
 以上の理由から本補正予算に対し反対します。